チベット仏教には、カギュ派、ゲルク派、サキャ派、ニンマ派の4流がありますが、中でもカギュ派は多くの傑出したラマを輩出してきました。その中でもディクン・カギュ派は特にすぐれたラマが多くおられます。ディクン・カギュ派は、ジクテン・スムゴン大師(1143-1217)によって創始されました。ガルチェン・リンポチェは、現代におけるディクン・カギュ派の重要な継承者です。
ガルチェン・リンポチェ (His Eminence 8th Gar Konchok Nyetong Tenpei Nyima Choekyi Palsangye) は、ジクテン・スムゴン大師の愛弟子であったガルデムパ・チョディンパの転生です。チョディンパ師は、インドのアーリャデーヴァ菩薩の転生だといわれています。
現在のガルチェン・リンポチェは第8世であり、1936年にカムのナンチェンでお生まれになり、先代のディクン法王シウェイ・ロデ大師からガルチェン・リンポチェの転生であると認められました。
7歳から22歳まで、リンポチェは先代のチメ・ドルジェ・リンポチェに師事され、多くの教えをさずかりました。22歳のとき、中国共産党がチベットに侵入し、リンポチェは投獄され、20年間を牢ですごされました。そこでニンマ派のケンポ・ムンセル師に遭われ、ゾクチェンの教えをさずかりました。
文化大革命が終わって1979年にリンポチェは解放され、故郷に帰って文化大革命で破壊された寺院を再建され、また人々のためにたくさんの福祉活動をなさいました。1997年にチベットを出られ、現在はアメリカのアリゾナ州を根拠地にして世界中で活動をしておられます。